2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直しております。
今回はジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」。
1977年発表作品。
この一作でJ・P・ホーガンをSF小説の巨匠に押し上げた記念碑的傑作。
物語の舞台は、月面に基地が設置され木星周辺まで探査船が進出している近未来。
月面で真紅の宇宙服をまとった死体が発見されることにより物語の幕は開きます。
その死体がどの月面基地に所属するものであるかが分からず、移送された地球上で綿密な調査が行われて。
その結果、死体は人類と同じ生物であるにもかかわらず五万年以上も前に死んでいたものであるとの驚愕の事実が判明することに。
果たしてその死体は何処から来た何者であるのか・・・
その謎の解明に人類が乗り出すと云うのが物語の筋立てになります。
生物学・遺伝学・地質学・歴史学・物理学等々様々な見地から仮説が立てられるも矛盾が露見すると云う構成になっており、なかなか謎は解明されません。
一方、木星の衛星において人類のものとは全く違う宇宙船の残骸が発見される事態が発生。
物語は人類の起源と古代文明そして異星人にかかわる謎の解明へと進んで行きます。
70年代末に書かれたSF小説ですので現代のテクノロジーを使えばすぐ解明出来そうな事項もあるのですが、仮説を立ててそれを否定すると云う思考実験的な構成は面白く読めます。
本作は実は序段でこの後に続編が幾つか書かれており、「巨人たちの星シリーズ」と総称される壮大な物語が展開されています。
ハードSFの金字塔である本作、ご一読ください。
日本では漫画化もされてますね。
では、また。