2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直してます。
2005年発表作品。
万城目学は1976年生まれで自分と同世代の作家さん。万城目(まきめ)とお読みします。
主に関西を舞台に史実を題材にした奇妙奇天烈な物語は「万城目ワールド」と呼ばれる独特な作風。
デビュー作となった本作も京都が舞台となっています(本人は京大卒)。
ボイルドエッグズ新人賞受賞作。
タイトルからして奇妙な本作ですが、「鴨川」は京都に流れているあの鴨川です。
では、「ホルモー」とは何か。作中から抜粋するとホルモーとは、
・十人と十人で行う対戦競技
・対戦に際しては、幾多の式神や鬼を用いる
・戦国時代の合戦図屏風に描かれているイメージ
と云うものであります。よく分かりませんねw
物語は主人公である安倍が「京大青龍会」と云う謎のサークルに勧誘をされ、入部するところから幕を開けます。
上記サークルは他大学の同種のサークルと「ホルモー」を連綿と戦い続けており、安倍はその活動に否応なく参加させられて行くと云う筋立てになっています。
対抗するサークルは、
「京産大玄武組」、「立命館白虎隊」、「龍大フェニックス」と云う名前。
京都が舞台、主人公の姓が安倍、式神、青龍・玄武・白虎・フェニックス(朱雀)、これらのワードからお分かりのように「ホルモー」は「陰陽道」を基盤とするある種儀式とも言えるものなんです。
かと言って物語は禍々しいものではなく、「ホルモー」は対戦型戦略シュミレーションゲームのようなものであり、対抗戦の模様もしっかり描かれています。
主人公の一人称形式によって紡がれる本作は、大学生の奇妙なサークル内における恋愛・軋轢・すれ違い・成長と言ったものに重きが置かれており、ユーモアあふれる軽妙な語り口と相まってスポ根ラブコメと言えるような青春物語となってます。
本作を読んだ後に京都を旅行する機会があったのですが、作中に登場する場所を何ヶ所か訪れました(聖地巡礼ぢゃないですけどねw)。
京都在住の方や、京都の大学卒の方にはぜひ読んでいただきたい作品です。
本作のスピン・オフである「ホルモー六景」も併せてお読みください。
では、また。