2022年4月からセミリタイア生活に入り、時間が出来ましたので蔵書の漫画を読み直してます。
日本の漫画史は大友以前・以後に分けられると言われるほどの影響力を持つ大友克洋。
本作「AKIRA」は氏を代表する大作SF漫画。
自分にとっても生涯不動のナンバーワン漫画です。
緻密過ぎる作画により普通のコミックサイズでは印刷で潰れてしまうためB5の大判で発行されるなどそれまでの漫画とは一線を画す作品であり、中学生時代に本作に触れた自分の世代ではこのコミックが本棚にあるかないかでそいつの人としてのセンスが分かるくらいでしたww
1990年に連載終了した作品ですが、物語が「2020年に東京オリンピック(激しい反対運動がある)を控えた前年から始まる」と云う設定であることから、現実を予言していたと最近でも話題になりましたね。
物語は、東京を壊滅させ第三次世界大戦の引き金となった国家機密=AKIRA(アキラ)と云う子供を焦点に、新たに東京湾上に再興された「ネオ東京」を舞台として、主人公となる少年=金田とその仲間・AKIRAに近い能力を手にした少年=鉄雄・都市ゲリラ・軍・科学者・新興宗教団体・米軍が入り乱れて展開する一大叙事詩となっています。
今回久しぶりに一気読みしましたが、いやー、めちゃくちゃ面白いです。
驚くほど緻密な作画ですし、大友デザインのメカニック(電気バイク・フライングプラットフォーム・衛星兵器SOL・レーザー砲・セキュリティボールなどなど)は今見てもクールだし、キャラクターの台詞回しも完璧。
一言で言うと「超能力」の物語なんですけど、AKIRAとその幼い友達の哀しき宿命の物語であり、作品舞台となる「ネオ東京」そのものの物語であり、金田と鉄雄の敵対と友情の物語でもあり、金田とケイ(都市ゲリラの子)の恋物語でもあり、破壊と再生の物語であり、そして宇宙誕生の物語でもあります。
登場するキャラクター全てが魅力的で(酷い奴も含めて)、それぞれが己れの信じるところに寄って立ち行動する姿には胸打たれるものがあります。
最終第6巻のクライマックスの盛り上がり方は半端ないすw
主人公を含む少年少女達が活躍する物語で、大友克洋から若者への応援歌とも言える作品となっています。
最近でもハリウッドでの実写化や新作アニメ化の話もあるみたいで、この先も再び楽しませてくれそうです。
21世紀の子供達よ、これが20世紀の傑作だ!!
では、また。