セミリタイア始めます。アラフィフ独身男のブログ。

2022年3月末に国家公務員を早期退職してセミリタイア生活に入った独身おっさんの日記。

セミリタおっさんの再読小説⑤山田宗樹「百年法」

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2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直してます。

今回は山田宗樹「百年法」。

2012年発表作品。

日本推理作家協会賞受賞作。

 

山田宗樹は1965年生まれで自分より一世代上の作家さんです。

嫌われ松子の一生」が大ヒット作となったのでご存知の方も多いかと。

 

物語は先の大戦後に共和制となった日本が舞台となる西暦2048年から始まります。

そこは、戦後米国主導により導入された不老化処置によって国民は不老(事故や病気によって死には至るので不死ではない)となっている世界。

同制度が導入された際にある法律が制定されています。

「生存制限法(百年法)」

 不老化処置を受けた国民は

 処置後百年を以て

 生存権をはじめとする基本的人権

 これを全て放棄しなければならない

すなわち、不老化処置後百年を経過したら国民は死ななければならないとする法律。

2048年は法律制定後最初の百年を向かえ、その施行が目前に迫った時であり、円滑な世代交代を行い、国としての新陳代謝を行うことを目的とする同法を巡って物語は展開して行きます。

同法施行を進めようとする官僚、人気取りのため施行を凍結しようとする政治家、死を強制される一般市民、同法廃止を目指すテロリスト等々が繰り広げる群像劇となっています。

物語は2098年まで続き、不老化処置に起因する新たな危機に対して日本国民がいかに対峙するかが描かれて終幕を向かえます。

ほんと面白いので、詳細はご一読くださいw

群像劇でありながら登場人物に過不足がなく、見事にそれぞれの役割を演じさせている構成は見事と言うほかなく、国の在り方や個人の存在意義など深淵なテーマも孕んだ作品となっています。

不老化処置は強制ではなく、自身の決断によって自然に老化する選択肢もあるのがこの物語のキーとなっています。

作中では、不老化処置によって肉体的には衰えなくても、人は百年近く生きると精神は荒廃・衰退することが示唆されています(だからこそ百年法は必要とされると)。

 

人生百年時代と言われる現代ですが、実際の私たちは確実に肉体的・精神的に衰えて行きます。果たして長く生きることは幸福なのでしょうか。

もし、半永久的な命が選べる未来が訪れたなら、あなたはどーしますか・・・

では、また。

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