2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直しております。
2003年発表作品。
映画化もされ山田宗樹の名を一躍広めたヒット作である本作。
晩年に「嫌われ松子」と呼ばれ不遇の死を迎えた女性・川尻松子の運命に翻弄され続けた生涯を描く傑作長編。
物語は福岡から上京して大学生活を送る川尻笙の元を突然父親が訪れることによって幕が開きます。
笙の伯母(父親の実姉)にあたる川尻松子が都内のアパート自室で他殺体として発見されすでに荼毘に付されており、その部屋の後始末を頼まれることに。
伯母は30年以上前に故郷・福岡から失踪しており、笙はその存在さえ知らなかった状態。
笙は興味本位から松子の生涯を調べ出す内にその壮絶な人生に遭遇することになると云うのが筋立てになります。
不運な出来事から福岡での教職を追われ最後には惨殺されてしまう松子の一生が丹念に紡ぎ出されて行きますが、それは転落しながらも必死に幸せを求め続けた一人の女性の物語。
松子に関わった人々の姿も丁寧に描き出され、それぞれの人生の光と影を知ることに。
松子を殺したのは誰かと云うミステリー要素もあるのですが、一人の女性の一生涯を描き切った巨編となっています。
映画版はミュージカル要素なんかもあって原作である本作とは趣きが異なるものの、こちらも秀作ですね。
ブログ主は男ですが、女性の一生を描く作品にはなぜか惹かれますw
関連過去記事↓
では、また。