2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直しております。
2002年発表作品。
自分と同世代の作家の中でトップランナーと言える伊坂幸太郎氏。
最近はその著書「マリアビートル」が原案となってハリウッドでブラピ主演で映画化されるなど活躍の場は世界へ。
本作は氏のデビュー第二作目にあたります。
物語の舞台はやはり仙台。
・強欲な画商とそれに従う女性画家
・妙な美学を持つ泥棒
・新興宗教に傾倒する青年
・不倫相手の妻を殺害しようと企む女医
・無職となり家族も失った中年男性
これらの人々を主とする物語が並走して書かれて行き、それらの物語をリンクさせるアイテム(拳銃・野良犬・開店したばかりの喫茶店・海外の宝くじ・白人女性など)が登場し、合間合間にバラバラ死体事件が顔をのぞかせます。
物語を時系列通りには書かずに、事象が起きた日時をずらして並行して書いていくと云う初期の伊坂作品の特徴的な構成になっている本作。
読者は上記アイテムを頼りに、その事象がいつ・どこで起こっていることなのかを考えながら読み進めることになります。
作中騙し絵で有名なエッシャーの展示会が登場しているのですが、終幕に向けてパズルのピースがはまるように事の真相が明らかになって行き、物語の全体像が浮き上がる様は、まさにエッシャーの騙し絵のごとし。
読後はその構成の妙に唸らされました。
伊坂作品は相互にリンクしている場合が多々あるのですが、本作に登場する泥棒=黒澤は後の作品にも登場します。
また前作「オーデュボンの祈り」の主人公・伊藤の話が本作内で言及されてたりします。
再読でも新鮮に楽しめました。
ご一読を。
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