2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、所蔵の小説を読み直しております。
今回は伊坂幸太郎「モダンタイムス」。
2008年発表作品。
自分と同世代の作家では一番お気に入りの伊坂先生。
発表順に作品を再読してます。
本作は「魔王」で描かれた世界の約50年後が舞台となっています。
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前作「魔王」では、国家が危険な管理社会へと向かう潮流に抗う特殊な能力を持つある兄弟の姿が描かれました。
本作は既に人知れずその社会が構築されてしまっている世界での物語。
主人公のSEの男性は業務としてある出会い系サイトの仕様変更に携わります。
発注元すら判然としないその仕事のプログラムには不明な点も多くいろいろ謎が。
そんな折、ある複数の〈キーワード〉を同時検索していた上司や同僚に不幸が襲って・・・
と云う内容で幕を開ける本作は、〈国家〉と云う〈大きなシステム〉に対抗する人々の姿を描き出して行きます。
前作から引き続き登場する人物もありなかなか壮大な物語になっているのですが、問われているのはその大きなシステムの中でいかに個人が〈自分で考える〉ことが重要であるかと云うこと。
著者特有のユーモアに彩られているので軽い感じで読み進められるのですが、根底にはネット社会・管理社会への警鐘があるのかと(全く説教臭くはないですけどね)。
著者がやはり国家=システムを題材にした「ゴールデンスランバー」と読み比べてみるのも面白いかもです。
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では、また。