2022年4月からセミリタイア生活に入り、時間が出来ましたので蔵書の漫画を読み直してます。
鬼才・弐瓶勉の骨太なSF作品。
物語は、「奇居子(ガウナ)」と呼ばれる謎の宇宙生命体に太陽系が滅ぼされてから1000年後の世界において、地球を脱出した超巨大宇宙船・播種船「シドニア」が安住の地を求めて「奇居子(ガウナ)」と戦闘を繰り広げながら、深宇宙を探索する模様を描いています。
その世界観は、
・ヘイグス粒子と呼ばれるものがその世界の主要なエネルギー源となっている
・対ガウナ主力兵器はロボットで主人公はそのパイロット
・ガウナの外観は昆虫のような異形のものが多い
・ガウナはその本体が「胞衣(エナ)」と呼ばれる物質で覆われており本体は特殊な武器でないと貫けない
・ガウナは本体を貫かれると泡状分解する
・ガウナはエナを利用してあらゆるものを再現することができる
と云った要素から「機動戦士ガンダム」+「風の谷のナウシカ」+「エヴァンゲリオン」のような感じでしょうかww
未知の生命体との遭遇や巨大宇宙船が宇宙を彷徨うと云う物語は海外SFには古くからよくある雛形ですが、本作はその大枠に様々なガジェットを盛り込んで独自の世界を構築することに成功しています。
播種船「シドニア」内での日常生活も丁寧に描かれてますし。
戦闘によりいつ死ぬかもしれないと言う緊張感の中で、主人公のパイロットをめぐるセンスあるラブコメも展開され作品の質を向上させているかと。
ガウナは戦闘時に取り込んだパイロットを「胞衣(エナ)」により完全に再現(記憶も含めて)したりするのですが、果たしてそれにより再現された人は「人」たり得るのかと云う疑問や、ガウナが「人」の形を真似ること自体が実は対話を図っていることを示しているのではないかといった考察が提示され、哲学的な物語になるのかなと期待したところ、その部分は深く掘り下げられることはなく物語の幕は閉じてしまい少し残念な気もします。
しかし、その独特な画風もあって唯一無二と言える世界観を十分に楽しめる作品となっていますのでご一読を。
では、また。
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