2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直しております。
今回は伊岡瞬「痣」。
2016年発表作品。
伊岡瞬は1960年生まれで自分より一世代上の作家さん。
「代償」が代表作かな。
ここ10年ほど「イヤミス(嫌な気分になるミステリー)」作品でよく売れている印象です。
著者が得意とする警察捜査ミステリーのなかでも特に人気なのが真壁修刑事シリーズ。
本作はシリーズ中の時系列的には最初となるエピソード。
物語は東京・奥多摩分署管内で全裸の美女冷凍死体が発見されることにより幕を開けます。
それより一年前、本庁の捜査一課に在籍していた真壁の妻が何者かに刺殺される事件が発生。失意の真壁は奥多摩分署に異動し刑事を辞職する決意をしている状態。
ところが発見された死体の胸には真壁の妻と同じような「痣」が。
その後連続して発見される冷凍死体には真壁だけが知る妻との関連性が窺え、否応なく真壁が捜査に関わっていくと云うのが物語の筋立てになります。
シリアルキラーを追い詰めて行くと云う警察小説ですが、各刑事が個性的でそれぞれの思惑や衝突が熱く描かれています。
横山秀夫の警察小説に通じるものがあるかな。
連続する冷凍死体事件と真壁妻の刺殺事件との繋がりと意外な犯人をご一読してご確認ください。
本作ではシリーズに登場する宮下刑事が真壁の下で成長する姿も描かれています。
では、また。