2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、所蔵の小説を読み直しております。
今回は桐野夏生「グロテスク」。
2003年発表作品。
泉鏡花文学賞受賞作。
桐野夏生先生の描く女性の〈心の闇〉には震えさせられることが多い私です。
本作は1997年に発生した「東電OL殺人事件」をモチーフにしています。
一流企業勤務のエリートOLが裏の顔として売春を行っておりその果てに殺害された事件ですね・・・
物語は四人の女性(内2名は殺害されています)を中心に紡ぎ出され、それぞれの独白・日記・手記及び殺人犯とされる男の上申書によってその関係性が浮かび上がる構成となっています。
とにかく重い話で読んでいると気分は沈んで行きますが読むことを止められない作品です。
美醜による女性の価値や経済格差による断絶等々を桐野夏生は容赦なく描いて行きます。
名門女子校での過酷な実態などおっさんの自分が読んでも胸が痛くなりますわw
四人の女性の一人は明らかにオウム真理教信者をモチーフにしてますし当時の世相が反映されていますね。
物語の核となる殺害される一流企業勤務のエリート女性が常軌を逸して行く姿の描写は息が詰まるよう・・・
救いのない話なのですが桐野文学に底通している〈魂の解放〉みたいなものは本作でも感じ取れます。
それぞれの心の裡にある〈グロテスク〉な部分に共感するのは難しいのですけど。
女性と云う存在の「生き難さ」を抉り出すような本作、読み手を選ぶような気もしますがご一読ください。
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では、また。

