2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直しております。
2002年発表作品。
シリアスなものから抱腹絶倒ものまで作品の振り幅が大きい奥田英朗先生。
本作はトンデモ神経科医・伊良部一郎を主人公にした大人気シリーズの一作目。
同シリーズは「空中ブランコ」「町長選挙」と続き、「空中ブランコ」で見事に直木賞受賞となりましたね。
メンタルに問題を抱えてしまった患者が、たまたま訪れた神経科医学博士・伊良部一郎の診察に戸惑い、怒り、振り回される様が面白おかしく描かれる連作短編集。
本作に収録されているのは、
・プール依存症になってしまった編集者
・勃起状態wが続いてしまう会社員
・ストーカー被害の妄想があるコンパニオン
・ケータイ依存症の男子高校生
以上五名の各話。
それぞれの理由によりメンタル面に問題を抱え日常生活に支障が生じてしまい伊良部一郎の下を訪れるのですが、とにかくこの伊良部一郎がトンデモない医者なんです。
伊良部総合病院の御曹子でお金もあるのですが、自分勝手でワガママで自分の興味の赴くままに行動する5歳児みたいな人物(色白でデブでマザコンでもありますw)。
患者が注射をされる箇所を見るのが大好きな変態ですぐにビタミン注射を打つのがお約束になってたり、神経科唯一の看護師・マユミちゃんは白衣の下から胸や太ももを見せる露出狂だったりムチャクチャな設定も笑えます。
そんな伊良部先生なのですが、その開けっぴろげな性格に何故か患者は頼るようになってしまい、最後には問題の解決に繋がるのが爽快です。
現代人は様々なストレスを抱え悩み苦しんでいますが、伊良部先生によって結果的に回復していく様は何だか涙が出そうにもなります。
心が弱っている方はぜひご一読ください。
少し元気になれるような作品ですので。
では、また。