2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直しております。
今回は澤村伊智「ぼぎわんが、来る」。
2015年発表作品。
日本ホラー小説大賞受賞作。
澤村伊智は1979年生まれで自分より少し歳下の作家さん。
本作で一躍ホラーの新旗手に躍り出た方かと。
「あれ」が来たら、絶対に答えたり、入れたりしてはいけない・・・
ある一家を襲った怪異を描く本作。
幸せな3人家族・田原一家(夫・妻・幼い娘)の周辺で、夫の部下の原因不明の怪我・謎の訪問者・不気味な電話など不可解な出来事が起き始めます。
夫は、一連の事象は亡き祖父が恐れた「ぼぎわん」と呼ばれるバケモノの仕業ではないかと思い当たり、旧友である民俗学者・唐草に相談することに。
唐草から紹介してもらったオカルトライター・野崎とその恋人で霊能者・比嘉真琴の助力を得て、田原一家は「ぼぎわん」に挑むと云うのが筋立てになります。
この筋立てだといかにも「陳腐な妖怪もの」のように思われるかも知れませんが、あに図らずこれがかなり怖くて面白くてホラー大賞の名に恥じない傑作となっております。
「ぼぎわん」の正体を古い文献などから探って行く件は興味深く、その語源についてはそんなバカなと思うものの、あり得なくはないなぁと感心したり。
物語は、田原家の夫、妻、オカルトライター・野崎の順にその視点から語られる構成となっているのですが、視点が変わることによって話はだいぶ異なる様相を見せることになります。
一見幸せそうであった一家の実情とは・・・
人の「悪意」こそが真に怖いものなのか・・・
健気に一家を助けようとする比嘉真琴が切なくてかわいいです。
その姉で類稀な霊力を持つ比嘉琴子の登場により物語は終息して行きます。
果たして一家は救われるのか。
ご一読してご確認くださいw
比嘉姉妹に関しては本作後にシリーズ化されています。
それだけ魅力的なキャラなんですな。
あと本作を原作とする映画「来る」も面白いですよ(自分は映画から見ました。真琴役の小松菜奈が◎)。
では、また。