昨年度末に早期退職しセミリタイア生活を送っている自分ですが、最後の赴任先となった街の賃貸マンションで暮らし続けています。
大学入学を機に賃貸物件での一人暮らしを始めたのを皮切りに、就職後もずーと賃貸暮らしをしています。
転勤が多かったことや物件が気に入らないとすぐ引っ越すことから、この30年間で関東地方を中心に実に13回の引越しを経験しました。
その間には様々なトラブルも発生しました。
今回はその一つを紹介してみようかと。
20代半ば頃に東京都荒川区の三階建てのこじんまりとした賃貸マンションの三階に住んでいました。
異変が起きたのは初夏のある朝。
出勤するために部屋を出ると入口扉の外側に何か液体が少しかかっていました。
甘い香りがしておりオレンジジュースだと推察され、困惑しながらも自分で拭き取りました。
その後も扉にジュースのような液体がかかっていることがあり、これはどういうことなんだと思案している最中に事態は大きく動きます。
その日は休日で自分が部屋でのんびりしていると、扉のところからガサガサと音が。
扉の覗き穴から外を見ると、そこには見知らぬ若い女が右手にライター、左手にサラダ油を持って立っているではありませんか。
慌てて扉を開けて飛び出し「何やってるんだ!」と怒鳴りましたが、その女は扉の新聞受けにサラダ油を浸した紙の束を突っ込み、まさに火をつけようとしているところだったのです!
その女は無表情で「隣を訪ねて来たんです」と意味をなさない言い訳をします。
「手にライターを持っているじゃないか!どういうつもりだ!」と詰問すると、その女は無表情のまま歩き出し、外階段を降りて自分の部屋の真下にあたる二階の部屋に入りました。
「わゎ、真下の住人かよ」と思いつつ、警察と不動産管理会社にすぐ電話して状況を説明することに。
警察の到着を待つために扉外側の通路に立っていたところ、階下の通路に件の女も出てきて「そんなところに立ってんじゃないわよ!」とヒステリックに叫びまた部屋に入って行きました。
明らかに精神的にヤバい人だと分かり悄然としているところに警官が到着したので、サラダ油まみれの紙束が突っ込まれた扉を見せながら状況を説明しました。
「放火未遂だから階下の女をすぐ逮捕しろ」と詰め寄る私に対して、その警官は「実際火をつけたわけでないし。記録は残しておきますから十分に注意してください」と弱腰な対応。
そうこうしている内に、管理会社から連絡を受けたそのマンションの大家さん(近くに住んでいた模様)が駆けつけて来ました。
大家さんは「申し訳ないです。入居時から少しおかしな女性だと思っていたんです」と言います。
管理会社のトラブル担当者も駆けつけて来て、とりあえずその女の保証人である父親に連絡して対処すると言い、私もあまり女を刺激するのも良くないと思い、その場は一同解散となりました。
今思うとほんと警察は頼りにならず、自分でサラダ油まみれの紙束を証拠品としてビニール袋にいれて保管しました。
また、すぐに親しい友人に電話して「もし私に何かあったら階下の女の仕業だと思え」と伝えておきました。
その日から「階下の恐怖」と戦う日々が始まったのでした・・・
次回に続きます。
では、また。