2022年4月からセミリタイア生活に入り、時間が出来ましたので蔵書の漫画を読み直してます。
今回は楳図かずお「私は真悟」文庫版全7巻。
評論家・呉智英をして「現代日本マンガが到達しえた頂点の一つ」とまで言わしめた傑作。
端的に言ってしまうと「コンピュータが自意識を獲得する」と云う話で、本作の連載が開始された1982年の時点でも海外SFでは取り上げられることも多いテーマではあります。
しかし、そこは楳図かずお大先生の作品ですので陳腐な物語で終わるはずはなく、「ボーイ・ミーツ・ガール」を基盤とした物語を、ある種狂気を孕んだ展開でグイグイと推し進めて行きます。
物語は、小学六年生・さとるの父親の勤める工場に産業用アームロボットが導入されることから幕を開けます。
その工場見学において、さとるは別の学校に通う同級生・まりんと運命的な出会いを果たし、二人でロボットにいろいろな学習プログラミングを秘密裡に施すことになります。
その後二人は家庭の事情により引き裂かれることになるのですが、その幼い、が故に「凶器」とも言える「愛」がある奇跡を起こすことに。
そして、その奇跡は地球規模でさらなる奇跡を起こすことになって行きます。
抽象的な表現しかしてませんが、ご一読いただき、その奇跡をご確認くださいww
『奇跡は 誰にでも 一度おきる
だが
おきたことには 誰も気がつかない』
「人工知能」や「シンギュラリティ」について語られることは今ほどなかった時代に、このような作品を産み出した楳図かずおには驚嘆するしかないです。
では、また。