2022年4月からセミリタイア生活に入り、時間が出来ましたので蔵書の漫画を読み直してます。
物語は「鎖国を続けた日本」若しくは「江戸期と明治期の間の架空の時代」を舞台に、「蟲師」を生業とする主人公・ギンコが様々な「蟲」と対峙して行く連作短編となっています。
「蟲」と云うのは、昆虫の虫ではなく精霊や妖怪に近いものとして設定され、その姿形は多種多様(動植物を模したものや雨や虹といった自然現象のようなものまで)で、ほとんどの人の目には見えないものとされています。
「蟲」はただそこに「在る」だけなのですが、人と接触することで人にとっての支障や不具合を生じさせることがあり、「蟲師」はその知識と経験によってそれを解決する謂わば「蟲」専門の医者・研究者となっています。
各話の舞台はほぼ農村部や漁村や山間部になっており、そこで懸命に生きる普通の人々をギンコが助けて行くと云う筋立てです。
古い時代の上記の場所が丁寧に描かれているので、読むとノスタルジックな気分になります。
「蟲」によって引き起こされる人に生じてしまう支障は、記憶を失ってしまったり姿が見えなくなってしまうなどホラー要素を孕んでいる話が多く、「ちょっと怖い日本昔話」と言ったところでしょうか。
「蟲が在る」世界を上手く構築しており、読むとその世界に引き込まれる感じがします。
「蟲」を通して人の業のようなものを描いてはいますが、ハッピーエンドになる話も多く、基本的に一話完結なので寝る前に一話だけ読むのも良いかと。
ちなみに作者は漆原友紀=うるしばらゆきとお読みする女性漫画家さんです。
では、また。